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現在の高齢者社会

65歳以上の高齢者の方々の中で、仕事に就いている割合をご存じでしょうか?2000年の総務省の調べによりますと、25%の方々が何らかの仕事をされているようです。この数字を高いとみるか、低いとみるかは難しいところではありますが、逆に言うと4人に3人の高齢者の方々は、仕事をされていないということです。

高齢者が仕事を辞めてしまう一番の原因は、間違いなく定年の制度があるからです。
定年の制度が普及したきっかけは、第一次大戦による好景気とその後に続く大不況と言われています。
戦争特需の好景気の時に大量に雇った労働者を、その後の不況時に退職させるために定年制を導入する企業が増えた歴史があり、今では完全に日本社会に定着しました。
昨今の少子高齢化問題により、徐々に定年が伸びてきたとはいえ、60歳~65歳には多くの方々が定年を迎えます。

定年に関する映画で、「終わった人」という映画が2018年に公開されました。主演は俳優の舘ひろしさん、原作は作家の内館牧子さんです。
内館牧子さんは、元横綱審議委員も務められ、横綱朝青龍関とのたびたびのひと悶着にご記憶の方も多いかと思います。

この映画は、舘ひろしさん演じる主人公が、大手銀行の出世コースを外れて、出向先の子会社で定年を迎えるところから始まります。元エリートサラリーマンである主人公は定年退職したのち、仕事をせずに家で過ごすことが多かったのですが、これといった趣味もない中、次第に虚無感を感じて、仕事を探し始めるという展開なのですが、映画とはいえ、現代の高齢者の状況を克明に映し出しています。

この主人公はお金に困って仕事を探し始めたわけではありません。内閣府による、このようなデータもあります。高齢者世帯の経済的な満足度を調査したところ、約7割弱の世帯が満足しているとの回答だったそうです。
しかし、そのことが高齢者の仕事への足かせとなっているのであれば、とても残念なことです。
仕事で得られるものはお金だけじゃないということ、もっと言えばお金以上にやりがいや生きがいを感じられるところが人生においての仕事の重要性と感じます。

この定年退職後に、仕事をせずに家で過ごすことを良しとする文化こそ、近現代の日本社会において押し付けられた価値観とも言えるでしょう。
しかし、人間は、社会とのつながりを絶ってはイキイキと生きていけないのです。そして、その社会とのつながりを維持するものが仕事になります。

ところが、高齢者の方々が仕事を探すことが大変であることも事実です。企業側は、同じ賃金を支払うのであれば、どうしても若い人材を求めてしまいますので、働きたい高齢者がすぐに仕事を見つけられないという状況です。
また、高齢者にとっても若い人材と同じ働きを求められても、体力的にも続けられなくなります。
現在の高齢者をめぐる労働市場では、このようなミスマッチが起こっているのです。

それでは皆様、高齢者の方々が、自分の得意を活かした仕事に自分のペースで取り組めるとしたら、このような問題の解決につながると思いませんか?

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